たまごの消費量
ダチョウの約1400gから蜂鳥の0.5gまで、鳥の卵は様々ですが、私たちが日常、目にしているのがニワトリの卵。日本では年間240~250万トンの鶏卵を生産している他、一部各国からも輸入しています。これに対し、日本人1人当りの1日の消費量は、統計によると、0.8個強(1個50gとして換算)。
たまごのお値段
全農東京M基準・年間平均卵価
単位:円/㎏
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 |
175 | 187 | 196 | 179 | 194 | 222 |
たまごの生産者
そもそも鶏卵の価格は、①需給バランス ②飼料価格 ③養鶏技術 ④流通システムの合理性等によって変動します。①はもとより、②の飼料価格は諸外国の穀物相場と連動しますので生産者は養鶏技術、産卵後の貯蔵技術の高度化や物流コストの削減に努めてきました。
国内生産者総数は減少傾向にありますが、他方では、一事業所当りの飼育規模は拡大傾向が続いております。養鶏事業の合理化に努める一方で、生産者は付加価値の高い新商品の開発や、飼育方法の情報開示等による差別化などで、毎日の食卓の卵を支えております。
生産統計(鶏卵)
単位tonnes
国・地域名 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 |
中国 | 23,633,503 | 23,820,080 | 24,231,630 | 24,659,155 | 24,787,665 |
アメリカ合衆国 | 5,349,100 | 5,411,600 | 5,439,918 | 5,224,661 | 5,636,230 |
インド | 3,230,000 | 3,378,100 | 3,466,340 | 3,655,000 | 3,835,205 |
日本 | 2,507,542 | 2,515,323 | 2,482,628 | 2,506,768 | 2,521,974 |
メキシコ | 2,360,301 | 2,381,375 | 2,458,732 | 2,318,261 | 2,516,094 |
ブラジル | 1,921,887 | 1,948,000 | 2,036,534 | 2,083,800 | 2,171,500 |
インドネシア | 1,071,500 | 1,121,100 | 1,027,846 | 1,139,949 | 1,223,716 |
ベトナム | 273,300 | 321,100 | 344,800 | 365,000 | 378,000 |
フランス | 201,700 | 946,500 | 865,900 | 853,630 | 944,000 |
世界 | 62,896,897 | 64,162,191 | 65,367,130 | 66,293,521 | 68,262,486 |
アジア地域 | 36,954,043 | 37,524,485 | 38,070,578 | 39,198,663 | 39,981,977 |
参考:FAOSTAT(FAO Statistics Division 2010)より抜粋。
※統計データは、公式、半公式、概算データを含み得る。
たまごの用途
生卵 | 卵かけご飯 月見うどん |
|
そのまま調理 | 煮る 焼く 茹でる 蒸す |
親子丼 蒸す玉子焼 蒸す温泉卵 蒸す茶碗蒸し |
機能を使って | 起泡性 | カステラ メレンゲ |
乳化 | アイスクリーム | |
熱凝固 | ハム 蒲鉾 |
|
色 | 栗饅頭 | |
栄養 | 流動食 | |
わずかなものまで | 含有成分 | リゾチーム レシチン |
イラナイなんて言わせない | 素材他 | Ca剤 肥料 |
という風に、「どこにでもある」、「いろいろ楽しめる」優れものなのです。
卵は完全食品と称されています。ヒナになるまでに必要な栄養素を全て含有し、アミノ酸スコアは100。中身から殻まで捨てるべき物は無く、私達の生活に様々な恩恵を与えています。
※アミノ酸スコア・・・ある食品のタンパク質に含まれる必須アミノ酸の内、最も不足している必須アミノ酸の、人体の必要量に対する割合。値が100に近いほど、良質のタンパク質と評されます。
日本人1人当りの鶏卵消費量は世界最高水準にあります。鶏卵加工分野は、家庭内での調理の簡便化、健康を支える商品の開発等に積極的に取り組んでいます。
たまごの中身
ご家庭での卵の取扱いについて、卵は非常にデリケートな食品であることを、まず念頭において下さい。卵殻には、1万個前後の小さな穴(気孔)があり、そこを通して呼吸しているのです。臭いの強い食品からは離して保管して頂くことをお勧めします。
また、冷蔵庫内では、丸みのある部分(気室側)を上にして保管します。卵殻からの細菌によるダメージを考え、中身の卵黄がそこに近づかないように工夫します。もちろん、賞味期限内でお召し上がり頂くことは言うまでもありません。
たまごの中身は、こんな感じです。
卵黄(らんおう)
黄身(きみ)と呼ばれる卵黄は、ラテブラ、胚盤(はいばん)、淡色(たんしょく)卵黄層、濃色(のうしょく)卵黄層、卵黄膜(らんおうまく)からなり、約半分が水分で、残りは脂質(ししつ)や蛋白質(たんぱくしつ)でできています。有精卵(ゆうせいらん)では、この表面にある胚から生命が誕生します。新鮮な卵の卵黄膜ほど、強く張りがあります。
卵白(らんぱく)
白身(しろみ)と呼ばれる卵白は、濃厚卵白(のうこうらんぱく)、粘度の低い内水様卵白(ないすいようらんぱく)と外水様卵白(がいすいようらんぱく)、カラザからなり、産まれてからの日数によって、構成割合が変化します。約9割が水分で、残りは蛋白質でできています。
卵殻(らんかく)
卵の殻(から)の部分は、産卵直後は粘液で覆われていますが、すぐに乾燥して付着し、クチクラと呼ばれる薄い膜になります。新鮮な殻の表面がザラザラしているのはこのためで、クチクラは微生物(びせいぶつ)の侵入を防いでくれます。
大部分は炭酸カルシウムでできていて、気孔(きこう)と呼ばれるたくさんの小さな穴があり、この気孔が胚の呼吸に必要な酸素を取り入れながら、内部で発生した炭酸ガスを排泄しています。
卵殻膜(らんかくまく)
卵殻の内側にある薄い膜です。主にタンパク質でできていて、外卵殻膜と内卵殻膜の2層から成っています。卵殻にくっついていますが、卵のまるい側では、離れて気室と呼ばれる空間をつくっています。
気室(きしつ)
気室は、産卵直後ではほとんど見られませんが、時間の経過とともに卵白に含まれている水分や炭酸ガスが殻の気孔から抜けていき、気室は大きくなります。卵の鮮度を見分けるポイントになります。
気「生卵を割ると、黄身の辺りから白っぽいヒモ状のものがくっついてるけど、食べても大丈夫?」
「カラザ」です。カラザは主にタンパク質からなり、卵黄を、常に卵の中央の位置に保たせる役目を持っています。食べても問題ありません。
たまごの大きさ
スーパーなどの店頭で、「Lサイズ、Mサイズ・・」等の表示がありますが、これは農林水産省の規定によって重量ごとに振り分けられています(パック内で使用されるラベル色もサイズ毎に異なります)。
ただし、中身の卵黄の大きさは、殻の大小にかかわらず、それ程変わりません。殻の見た目が大きな卵ほど、卵白が豊富であるということになります。
SS | S | MS | M | L | LL |
40以上~46g未満 | 46以上~52g未満 | 52以上~58g未満 | 58以上~64g未満 | 64以上~70g未満 | 70以上~76g未満 |
茶色 | 紫色 | 青色 | 緑色 | 橙色 | 赤色 |
殻や黄身の色と栄養
茶色い羽を持つ鶏の多くが、赤玉(あかだま)を産みますが、正確には、殻の色の違いは、産卵する親鶏の種類によって決まります。また、色の違いと、鶏卵自体の栄養成分の違いも、関係ありません。プロトポルフィリンという色素が多く含まれていると褐色や薄いピンク色の卵になります。アローカナという鶏の種類は、青色の殻の卵を産みます。
黄身の色の濃淡も、親鶏の食べるえさの種類と配合によって左右されます。これも、直接栄養価には関係ありません。
たまごの栄養
鶏卵にはひなが誕生するまでに必要な栄養素が全て含まれています。
卵といえばタンパク質です。タンパク質を漢字で書くと「蛋白質」、タマゴ(「蛋」)の白身を表しています。卵にはタンパク質を構成する8種類の必須アミノ酸が全て含まれています。タンパク質を摂取することは、児童の発育はもとより、成人の健康維持にも欠かせません。
ビタミンB12は、神経を保護する髄鞘の形成に必要な栄養素です。同じく卵に含まれるビタミンB6と葉酸も神経の健康に欠かせません。
セレンは、体細胞を守る酵素に欠かせない構成要素です。
卵の殻は、カルシウム剤の素にもなっています。
また、卵白には、「リゾチーム」と呼ばれる酵素が含まれています。リゾチームは、細菌を溶かしたり、免疫力を高めたりすることで知られています。
このように、様々な栄養分を有する一方で、ビタミンCと食物繊維は全く含まれていません。野菜類などと一緒お召しになることをお勧めします。
たまごとコレステロール
江戸時代に製本された「万宝料理秘密箱」には、「卵之部」として、100種類以上にわたる、卵の料理法が記されています。卵の摂食の歴史は古く、現代の生活にも欠かせない食品の一つです。卵の恵みに感謝しながら、卵を知り、これからも楽しく付き合っていきたいものです。
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